春~晩冬の最新ファッショントレンドガイド

春から晩冬にかけての最新ファッショントレンドを紹介。季節ごとのスタイルの変化を最速でお届けします。

月別: 2019年6月

ロンシャンの“折り畳める”アイコンバッグが“キューブ&コーン”型に

ロンシャン(LONGCHAMP)とデザインオフィスnendoがコラボレーション。「ロンシャン×nendo コラボレーションバッグ」が、2019年6月28日(金)よりロンシャン ラ メゾン表参道・銀座・阪急うめだ本店にて発売をスタートし、追って伊勢丹新宿店、岩田屋本店などでも展開される。

“折り紙から生まれた”ロンシャンのバッグ「ル プリアージュ」

ロンシャンとデザインオフィスnendoのコラボレーションバッグは、ロンシャンのロングセラーバッグ「ル プリアージュ」がベース。日本の“折り紙”をヒントに製作された「ル プリアージュ」は、軽くて折りたたむことが出来る機能的なデザインが特徴だ。

デザインオフィスnendoとタッグを組み、今回はこの「ル プリアージュ」を新たなシルエットに生まれ変わらせた。アイコンバッグの特徴である“折り畳みができる”長所を活かして、バッグとして持ったときと折り畳んだときで異なる表情をみせる、プレイフルなデザインを完成させた。

サイコロのようなスクエア型の「キューブ」は、頑丈で収納力が高いのがポイント。バッグに取り付けた補強材は、取り外し可能な上折りたためる仕様になっている。そのため、バッグとして使うときは補強し、収納するときは取り外して折りたためばOK。底が広くマチがあるので、旅行かばんとしても活躍してくれそうだ。

円錐型の「コーンシェイプ」は、キュートなシルエット。トップについたハンドルは、持ち手としてだけではなく、フックやレールにかけることもできるので、インテリアとして使用するのもいいかも。ロンシャン「ル プリアージュ」のフラップをヒントにしたレザートップは、開閉しやすくバッグの中身も出し入れしやすい。

日本の伝統的な風呂敷をヒントした「サークル」。風呂敷のように持ち運ぶ物に合わせて形を原型できる。使用しないときはコンパクトに折りたためるので、デイリーバッグに忍ばせてセカンドバッグとして使うのもおすすめだ。

カラーは、ロンシャンのクリエイティブ ディレクター ソフィ・ドゥラフォンテーヌが
“coloured neutrals”と呼ぶカラーをセレクト。深みのあるバーガンディ、洗練されたマスタード、コーディネートしやすいブラウン、クールなグレー、爽やかなブルー、優しい印象のピンクの全6色を揃えた。

【詳細】
「ロンシャン×nendo コラボレーションバッグ」

Sサイズ 直径 60 cm 8,000円+税
Lサイズ 直径 85 cm 11,000円+税
発売日:2019年6月28日(金)よりラメゾン表参道、銀座、阪急うめだ本店、オンラインショップ
7月3日(水)より伊勢丹新宿本店
7月16日(火)より岩田屋本店

風船がしぼんでドレスに!? 英セント・マーチンのファッションショーに“巨大風船”が登場

ロンドンの名門セント・マーチン美術大学(Central Saint Martins BA)が毎年行っているファッションショーが5月30日に開催され、プリント、ニットウエア、ウィメンズ、メンズなど各学科から43人の学生が参加した。多数の著名デザイナーを輩出した同校のコレクションは注目度が高く、ファッション関係者も多く訪れるが、今年の優勝者はその斬新な作品でひときわ注目を集めた。

大賞にあたるロレアル・プロフェッショナル・ヤング・タレント賞(L’Oreal Professionnel Young Talent Award)を受賞したノルウェー出身のフレドリック・シャエランドセン(Fredrik Tjaerandsen)のショーでは、巨大な風船を上半身にかぶったような格好のモデルたちが登場した。ランウエイの途中で色とりどりの風船から空気が抜けていき、やがてラバー素材のドレスに変身するというマジカルな演出に、会場からは盛大な拍手と歓声が湧き起こった。

大胆なショーはインターネット上でもすぐに評判となり、「メットガラ(MET GALA)」などのイベントに派手な衣装で登場することで知られる米俳優ビリー・ポーター(Billy Porter)も、インスタグラムに投稿されたショーの動画に「うわーーー!!!」と驚きのコメントを寄せた。

シャエランドセンは、「人間の自己認識が明確になる、その曖昧な瞬間を表現したかった。その瞬間を再現して経験するための実験的な方法を開発するべく努力を重ねた。使用されているゴム素材はスリランカ産で、地元のゴム栽培農家から仕入れている会社のものだ。ドレスには空気圧システムが付けられていて、着用者が自分で風船をしぼませてその中から“脱出”できるようになっている。風船と中のドレスは一つのピースで作られており、つなぎ目がなるべく少なくなるようにデザインした」と語った。なお、シャエランドセンは「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「クレイグ グリーン(CRAIG GREEN)」「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」で働いた経歴を持つ。

準優勝には、ボタンが並ぶウィメンズのジャケットや形状記憶素材を使用したドレスなどを発表した、スイス出身のポーリーン・ドゥ・ブロネー(Pauline De Blonay)が輝いた。また、すぐにでもパリのメゾンで通用するような高い技術力でメンズウエアをデザインした日本人のフミカ・オオシマ(Fumika Oshima)と、1980年代にインスパイアされた肩を強調したブラウスやスカートなどが印象的だったアゼルバイジャン出身のフィダン・ノブルゾバ(Fidan Novruzova)が同率3位に入賞した。

今年の審査員は、写真家のマイケル・コスティフ(Michael Costiff)、デザイナーのグレース・ウエールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)とリチャード・マローン(Richard Malone)、英「ヴォーグ(VOGUE)」誌の編集者オリビア・シンガー(Olivia Singer)のほか、セント・マーチン美術大学の教授陣やロレアル プロフェッショナルの代表者らが務めた。

2000号分を振り返って思う「今のファッションが一番面白い」

私を含む新卒1、2年目が担当した39年分のファッションニュースの振り返りページの他、歴史を創った人物たちの名言集、エポックメーキングなコレクションまでまとめている。刷り上がった170ページ分の重みを感じながら、自分もエポックメーキング・コレクションのページをめくり、気になったコレクションはスマホを片手に検索して現存している全ルックを見てみた。だが、そんな伝説的なコレクションを見て感じたのは「今のファッションが一番よい」ということだ。例えば、「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」は全ルックを見た1999年春夏も「素晴らしい」とは思うが、今のコレクションやファッションを見た時に感じる感動と「欲しい」という欲望が入り混じったあの高揚感は湧かなかった。なぜか。正直なところ、自分でもその答えは分からない。だが、そんな時代を創ってきたデザイナーたちの言葉には、そのヒントがありそうだ。

例えば、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)は1983年に「ファッションには現在や未来が含まれていることが必要。ドレスは生きている女性が着るもので、美術館に展示されるものではない。ファッションは商いであって、芸術ではない」と述べ、さらに2003年には「お気に入りは常に次のコレクション。過去は決して振り返らない」という言葉を残している。ちなみにこの言葉は最近のインタビュー(11月27日発売号)でも繰り返している。また、08年にエディ・スリマン(Hedi Slimane)は「10年後のことなんてわからない。ファッションは今、この瞬間であるべきだから」と語った。

彼らの言葉から一つの仮説を立てるとすると、私が「今のファッションが一番よい」と感じたのは、今のファッションが、今自分が生きている時代、この瞬間を反映しているからではないだろうか。だから自分が生まれていない時代のコレクションを見ても、いまいちピンと来なかったのではと。さらに言えば、自分が感動した2000年代のファッションに関しても当時と同じ感情は生まれなかったことを考えると、まさに「ファッションは今、この瞬間」でしかないのだろう。では、ファッションが“今”であるためにはどうしたらよいのか。それはやはり、時代を読み、時代をクリエイションに投影させることだと思う。古すぎても新しすぎても駄目で、デザイナー自身とブランドのアイデンティティーも反映させながら、ちょうどよいところを狙わなくてはならない。

さらにファッションの難しい点は、カールの言葉を再び借りれば、「商いであって芸術ではない」ところだ。“今”のファッションを作っているデザイナーの1人、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)「ヴェトモン(VETEMENTS)」ヘッド・デザイナーのバックには法律とビジネスの分野で4つの学位を持つ弟のグラム(Guram)「ヴェトモン」最高経営責任者がいるように、ビジネス面でも時代に合わせて変化することが必要だ。どの国のどの店舗にどのくらい商品を供給すればいいのかということからキャッシュフローまで、柔軟かつ堅実なビジネス基盤なしには、どんなに素晴らしいクリエイションをしても消費者には届かない。

新卒として入社し半年以上が経ったが、ファッション専門紙を名乗るの使命は、そんなファッション業界で働く全ての人に“今”の情報を届けること、そして残していくことだと理解している。最新コレクションのレポートはもちろん、それを取り巻くビジネス、経済も守備範囲だ。例えば欧米で新たなビジネスモデルが成功していると聞けば成功の秘訣を聞くのはもちろん、実際にユーザーとしてサービスをレポートしたり、SNSで話題のネタまでチェックしたり、世界で今何が起きているのか幅広くカバーし、これからも届け続ける。ファッションが“今”を生きるためのアイデアをから得て頂けるよう、私も尽力していきたい。

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